オルマン・サウセダは、ニカラグア北部のヌエバ・セゴビア県モソンテで、 エリート農園、アルティプラノ農園、インファンテ農園を家族とともに営むコーヒー生産者です。
2006年からカッパーとして経験を積み、Cup of Excellence では ナショナル審査員15回、インターナショナル審査員2回を務めてきました。 現在も国内外で審査に携わる一方、自ら栽培や精製、カッピングを行っています。
2007年、ラス・セゴビアスにいたオルマン
BOOKyourCOFFEEとオルマンの接点は、現在の取引が始まるより前にさかのぼります。
2007年、田中がルイス・アルベルト・バヤダレスの精製施設「ベネフィシオ・ラス・セゴビアス」を初めて訪れたとき、 そこで働いていた一人がオルマンでした。 当時の写真にも、後に取引することになるオルマンの姿が残っています。
オルマンはここで、精製や品質管理について学びました。 細部まで確認しながら工程を進める仕事ぶりは、現在のクリーンなカップにもつながっています。
カッパーから生産者へ
コーヒー生産者の家に生まれたオルマンは、家族の二代目としてコーヒーに関わってきました。
カッパーとして各国の優れたコーヒーに触れるなかで関心を深めたのが、ニカラグアではまだ栽培例の少なかった品種です。 海外で評価されている品種を自国の環境に適応させ、ヌエバ・セゴビアの風土を反映したコーヒーに育てるため、栽培と選抜を続けています。
農園への投資資金は、ドライミルの仕事を通じて少しずつ蓄えてきました。 現在はモソンテに焙煎設備を持ち、自分たちが生産したコーヒーをオルマン自身が焙煎して評価しています。
モソンテの冷涼な環境
オルマンによれば、モソンテはニカラグアのほかの産地と比べ、気候変動の影響が比較的小さい地域です。
12月から1月には、最低気温が2〜5℃ほどになることがあります。 低温によって一部の枝が自然に枯れ、剪定された状態になるため、翌年は実の付きが良くなるという利点があります。
一方、寒さが強すぎれば木への負担になります。 さび病などの一般的な病害に加え、低温時に発生しやすい炭疽病にも注意が必要です。
農園では除草剤を使わず、雑草もすべては取り除きません。 適度に残した草を土へ還して肥料にしています。 有機肥料も、ヨーロッパ産をはじめ品質を確認したものだけを使用しています。
ニカラグアで育てるエキゾチック品種
農園では、チロソやオレンジゲイシャ、シドラ、ピンクブルボンなど、 世界各地で注目されている品種を育てています。 このほか、イエローパカマラ、レッドマラカツーラ、カツアイなども栽培しています。
それぞれの品種がモソンテの環境でどのように育ち、どのような香味を生むのかを確かめながら、農園に適した木を選んでいます。
木に巻かれた色とりどりのリボン
農園を歩くと、コーヒーの木に色の異なるリボンが巻かれています。 これは、木ごとのチェリーの味を記録するための目印です。
同じゲイシャでも、トロピカルな味を持つ木や、スパイスを思わせる木など、チェリーの風味には違いがあります。 オルマンはその特徴に応じてリボンの色を分けています。
次世代の種には、パパイヤのような風味や明確な果実味を持つチェリーを優先して選びます。 さらに、収穫した実を精製し、焙煎してカッピングしたうえで、高く評価できた木だけを採用します。
初収穫でつかんだCOE1位
2025年、エリート農園で新たに植えたゲイシャが初めて収穫を迎えました。
ハニープロセスで仕上げたこのロットは、ニカラグア Cup of Excellence の Natural & Honey 部門で91.77点を獲得して1位となり、 プレジデンシャル・アワードにも選ばれました。
翌2026年にも、エリート農園のゲイシャ・ハニーが同部門で入賞しています。
オルマンが目指しているのは、海外で評価されている品種の味を、そのまま再現することではありません。
多様な品種をニカラグアの環境に適応させ、モソンテの土壌や気候が生み出す個性を備えたコーヒーに育てること。 そのために、一つひとつの木と向き合い、味を確かめながら次の世代を選んでいます。
カッパーとして世界の優れたコーヒーを知り、生産者として自らの農園で新しい可能性を形にする。 オルマンの取り組みは、ニカラグアのコーヒーが持つ多様性を、さらに広げようとしています。
