Coffee Producer
Luis Joaquin Lovo
Nicaragua / Nueva Segovia / Dipilto
ルイス・ホアキン・ロボさんは、ニカラグア北部ディピルトで、ベヤ・オーロラ、ラ・プラデラ、サンタ・テレサの3農園を運営するコーヒー生産者です。
家族から受け継いだ農園とドライミルを基盤に、栽培から精製、選別までを細かく管理し、大きな生産量と安定したカップクオリティを両立しています。
3代にわたって続くコーヒー生産
ホアキンさんは、母方の祖父から数えて3代目のコーヒー生産者です。
祖父は生産だけでなく輸出にも携わり、現在につながるドライミルも祖父の代から続いています。
父の代には、ベヤ・オーロラ農園までの道路を整備。それまで徒歩や馬が中心だった移動は車へと変わり、最初に導入したのは日本のスズキ製の車だったといいます。
ベヤ・オーロラ農園は父の代にもCup of Excellenceで評価されており、品質を重視する姿勢は世代を越えて受け継がれてきました。
一方で、その歩みは順調なものではありません。
1979年には年間約18トンを生産していましたが、ニカラグア内戦の影響で一家は国外へ避難。1991年に帰国した頃には、生産量は約1.8トンまで減少していました。
そこからホアキンさんが農園を立て直し、現在では3農園で約138トンを生産するまでになっています。
サビ病との戦いと品種選び
ホアキンさんが長く向き合ってきた課題の一つが、コーヒーサビ病です。
2012年頃から被害が続き、一時は壊滅的な影響を受けました。特にマラカツーラは、生産を諦めかけた時期もあったといいます。
その経験から現在は、風味だけでなく、耐病性や収穫量も含めて品種を選んでいます。
大きなロットを支えるカチモール、安定した甘さを持つカツーラ、特徴的な風味でCup of Excellenceでも評価されてきたマラカツーラ。それぞれの特性を見ながら栽培しています。
さらに現在は、品質と耐病性の両面に可能性を感じるアララにも力を入れており、今後約5万本の植樹を計画しています。
品種選びでは、自身や現地カッパーの評価に加え、BOOKyourCOFFEE代表の田中のカッピングフィードバックも参考にしています。
次の収穫は、収穫が終わった日から始まる
ホアキンさんは、収穫後の管理をとても大切にしています。
2月ごろに収穫を終えると、すぐに翌シーズンの準備を始めます。ホアキンさんは、こう話します。
「収穫を終えたコーヒーの木は、出産を終えた女性のようなものです。
たくさんの実をつけた後だからこそ、しっかりと労わることが大切です。」
木に残ったチェリーはすべて収穫し、低いグレードのものはローカル向けに使用します。実を残したままにすると、翌シーズンの生育や病害虫に影響するためです。
その後は、苗づくり、水源管理、シェードツリーの手入れ、剪定、害虫対策、土壌づくり、施肥を進めます。
苗は再来年の植樹まで見越して準備。シェードツリーにはグアバやグアヒニキルなどを使い、落葉も土へ還します。
精製に使う水は農園内の湧水です。ホアキンさんは、水の清潔さが雑味や発酵のズレを防ぎ、クリーンカップにつながると考えています。
こうした基礎的な管理を丁寧に続けることが、農園全体の品質を支えています。
45トンを超えるロットでも品質を揃える
BOOKyourCOFFEE田中が、ホアキンさんの大きな強みとして評価しているのが品質の安定性です。
少量の特別なロットだけでなく、45トンを超える大きなロットでも、85〜86点クラスの品質を安定してつくります。
収穫・精製期間中はほぼ毎日カッピングを行い、ロットごとの状態を確認します。
欠点豆の選別も厳しく、BOOKyourCOFFEEが求める基準を上回る水準で管理。問題が見つかったロットは再選別し、ドライミルでは色彩選別機も使用しています。
現地で見せてもらった品質管理の一つが、洗浄状態の確認です。
一定量を処理するごとに約300gのサンプルを取り、汚れが確認されれば、そのサンプルだけでなく同じタイミングで処理した豆全体を止め、必要に応じて洗浄からやり直します。
雨の影響を受けたロットも分けて管理します。
ホアキンさんが最も重視するのはクリーンカップです。熱いうちだけでなく、冷めてからも雑味が出ず、味わいが崩れないことを大切にしています。
マラカツーラから始まった田中との関係
BOOKyourCOFFEEとホアキンさんの関係は、現在の取引が始まる前までさかのぼります。
サビ病の被害でマラカツーラの生産を諦めかけていた頃、ニカラグアを訪れていた田中が、偶然そのコーヒーをカッピングする機会がありました。
まだ取引関係はありませんでしたが、田中はそのマラカツーラを高く評価しました。
ホアキンさんは生産を続け、2017年にはベヤ・オーロラ農園のマラカツーラ・ウォッシュドがCup of Excellenceで90.37点を獲得し3位。2022年にも同じ農園、同じ品種で5位に入賞しています。
田中は現在も、ホアキンさんのマラカツーラを、他のマラカツーラとブラインドで並べても分かるほど特徴的だと評価しています。
またホアキンさんは、田中とセルヒオ・オルテツさんが長年築いてきた関係も知っており、自ら田中との取引を強く希望しました。
現在では、新しい品種を検討する際にも田中の意見を求めるなど、品質面でのやり取りが続いています。
品質を続けるための農園経営
ホアキンさんは、農園を持続させるためには、品質が重要だと考えています。
自身も週4〜5日は農園へ足を運び、施肥の時期や内容まで細かく把握しています。
働く人たちには2週間ごとに食料を支給し、農園で料理を担う女性にも給与を支払っています。
2026年は裏年と気候条件が重なり、農園全体が減産しました。
十分な量をすべての取引先へ供給できない中、ホアキンさんはカナダやアメリカなど一部への輸出を断り、BOOKyourCOFFEE向けの数量を確保してくれました。
長く品質を確認し、取引を続けてきた関係が、こうした形にも表れています。
主な受賞歴
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2017
Nicaragua Cup of Excellence 3位・90.37点
Bella Aurora / Maracaturra Washed -
2022
Nicaragua Cup of Excellence 5位・89.00点
Bella Aurora / Maracaturra Washed -
2024
Nicaragua Cup of Excellence 17位・87.80点
Bella Aurora / Maracaturra Washed -
2025
Nicaragua Cup of Excellence 15位・87.05点
Bella Aurora / Maracaturra Washed
ルイス・ホアキン・ロボさんは、内戦やサビ病による大きな被害を経験しながら農園を立て直し、現在も品質を安定させるための改善を続けています。
特別なロットだけでなく、大きな生産量の中でもクリーンで安定したカップをつくること。そのための細かな管理が、ホアキンさんの強みです。
4人の子どもたちも現在アメリカでコーヒーに関わる仕事をしており、家族のコーヒーづくりは次の世代へと続いています。

