Coffee Producer
Fernando Lima
El Salvador
フェルナンド・リマさんは、エルサルバドルで約160年にわたって コーヒーをつくり続けてきた家に生まれました。
サンタ・アナ火山の高地に、標高の違う農園をいくつも持っています。 土づくり、日陰の木、農園で働く人との関係まで、 長い時間をかけて育ててきた生産者です。
流行や目先の収穫量を追わず、 毎年安定して質の高いコーヒーをつくることを大切にしています。
160年受け継がれる農園
フェルナンドさんの家は、エルサルバドルでも歴史の長いコーヒー生産者です。
いまは、エル・コロッソ(1,860m)、サンタ・エレナ(1,650m)、 ラス・ラデラス(1,603m)などの農園を管理しています。
サンタ・エレナは、そのなかでも大きな農園で、 樹齢100年を超えるブルボンの木がいまも残っています。
受け継いできた農園の管理と、いまの品質づくり。 その両方が、フェルナンドさんのコーヒーの特徴です。
コーヒーは10年単位のビジネス
「コーヒーは10年単位のビジネスです。」
新しく植えた木が育ち、その土地に合っているとわかるまでには、 長い年月がかかります。
フェルナンドさんは、希少な品種や新しい精製にすぐ飛びつくことはしません。 まず収穫の量と質を安定させ、農園の足もとを固めてから、 次の一手を考えます。
自然と共生する農園づくり
「自然と戦わず、共生する。」
フェルナンドさんにとって農園とは、コーヒーの木だけでなく、 まわりの自然も含めたものです。
とくに大切にしているのが、コーヒーに日陰をつくるシェードツリーです。 土地に合う木を選び、約15年かけて育てています。
日の当たり方を整えることで、コーヒーの木に無理をさせず、 長く元気に実をつけられるようにしています。
農薬に頼らない栽培
2005年のサンタ・アナ火山の噴火をきっかけに、 農薬を使わない栽培に切り替えました。
以前は有機栽培の国際認証も取っていましたが、数年前に取得をやめています。 認証を続けるには大きな費用がかかり、 それがコーヒーの価格に上乗せされてしまうからです。
認証はなくなっても、農薬・除草剤・化学肥料を使わない農園管理は、 いまも変わらず続けています。
時間をかけた土づくり
コーヒーの木の間に大きな穴を掘り、 そこに有機物を入れていく方法を続けています。
すぐに効く方法ではありません。 木が育ち、根がその穴まで伸びたときに効いてくる、 何年も先を見た土づくりです。
摘み取りは4回に分けて
エル・コロッソでは、収穫を4回に分けて摘み取ります。 とくに2回目と3回目は、黒紫色に熟しきった実だけを選んで摘みます。
収穫のあとは、木にも地面にも実を残しません。 標高の高さに加えてこの手入れを続けることで、 実を食べる虫(ブロカ)を寄せつけない農園になっています。
働く人との長い関係
標高の違う農園を持っているので、収穫の時期を少しずつずらせます。 そのおかげで、収穫を手伝う人たちに、 できるだけ長い期間働いてもらえます。
農園には住み込みで働ける宿舎があり、 収穫の仕事には相場より高い賃金を払っています。
「働く人が幸せなら、いい仕事をしてくれる。」
フェルナンドさんは働く人の名前を覚え、ひとりひとりと言葉を交わします。 農園の利益は、まず農園と宿舎の手入れに回し、 自分の取り分はいちばん最後です。
親から子へ、子から孫へと同じ家族が働きに来ることで、 摘み取りや手入れの技も受け継がれていきます。
フェルナンドさんが長い時間をかけて育てているのは、 コーヒーの木だけではありません。
カップ・オブ・エクセレンスでの評価
フェルナンドさんの農園は、2008年からカップ・オブ・エクセレンス(COE)で 十数回入賞しています。
2021年には、サンタ・エレナのゲイシャ(ウォッシュド)が3位(90.54点)に入りました。
この評価は、珍しい品種や新しい精製の話題だけで得たものではありません。 土づくり、農園の環境、働く人との信頼を、 何年もかけて積み重ねてきた結果です。
BOOKyourCOFFEEとの関係
BOOKyourCOFFEE代表の田中が2005年にフェルナンドさんと出会ってから、 長くコーヒーを届けてもらっています。
フェルナンドさんは日本が好きで、マラソンを趣味としている生産者でもあります。 2026年3月には、東京マラソンを走るためにご夫妻で来日し、 BOOKyourCOFFEEの運営本部がある山口県にも3泊して、 店のお客さまや仲間と過ごしました。
翌月の4月には田中がエルサルバドルを訪ね、 エル・コロッソの摘み取りや農園の手入れを見せてもらいました。
フェルナンドさんのコーヒーには、約160年受け継がれてきた農園の歴史と、 何年も先を見て整えてきたいまの農園の姿が表れています。
シェードツリー、土、コーヒーの木、そして働く人。 どれも切り離さずに育てていくことが、 フェルナンドさんのコーヒーづくりの土台です。


