BOOKyourCOFFEE運営(以下BYC):BYCの生豆を使用してみて、お店での反応はどうですか?
くつろぎ珈琲さん(以下くつろぎ) : 良い品質の豆を販売するとお客さんはちゃんと覚えてますね。あれこれ説明するよりも、お客さんからズバッと「あれが飲みたい!」と、売り切れて何か月経っても言われる。良いものを出したら記憶に残ってくれるんだなぁって。
BYC : お客さんこそいいものを分かっておられますからね。品質についてはどう思われますか?
くつろぎ : 普段扱っているのとは全然違う。良い悪い以前に新しかった。「こんな豆あったんだ!」って。
BYC : 日本にいたら品質の良い悪いが見えにくくないですか?
くつろぎ : 見えにくいですね。
なんか、どの業者さんも良いんだろうっていう前提で買うじゃないですか。でもこっちに来るとガチでいいじゃないですか。それがなんかこう、ぼんやりじゃなくてウワァって。ハッキリ感じました。
BYC : こっちにくると明確に分かりますよね。
くつろぎ : そうですね。「こんなんあったんかー!」が一番強かったです。と、同時に自分のカッピングスキルとか焙煎とか色んなものがリセットされたというか、自分の見直しが必要だと思ったんです。
今回でそこがかなりブレイクされた感覚です。ロースターとしてある程度長くやってる分、自分の中の常識がずっとあって余計に固まってたなって気づきました。
BYC : 一歩出てみると違う世界が見えますよね。
くつろぎ : はい、来てみて現地で味をとるっていう経験も新しかったですね。日本でのカッピングと全然違う。
BYC : 全然違うんですよ。産地の方、本当に焙煎上手いですよね笑
くつろぎ : 衝撃!!特にクリーンカップが「ここまでクリーンになるんだ!」って。限界値がめっちゃ上がった気がします。
BYC : いやほんとそうなんですよ。焙煎やばいですよね。
くつろぎ : 帰りの車の中で、一からやり直しってスタッフと話してました。帰国後すぐに設定してから焼き直します。プロファイル丸ごと変えようって。
BYC : 今回、生産者と直接会ったじゃないですか。で、これまでのBYC以外の仕入れと比べてみて、違いとか気持ちの変化とかありましたか?
くつろぎ : 気持ちの変化はすごくありましたね。写真とかではお顔も見れてましたけど、実際に目の前にいて、話を聞いて自分と会話もできて。実際に会ったことある人とか、知り合いの作った豆だよってお客さんに言えるのが楽しみです。
BYC : 逆にBYCで共同買付をすることのデメリットとしては何かありますか?
くつろぎ : 僕はあんまりデメリットを感じないです。
さっき言われてたのは、30kgは人によっては多いんじゃないかって。
でも、すぐに売れるようになると思うんですよ。出来れば産地来て、まず1回使ってみるっていうやり方もいいですよね。
BYC : そうですね。くつろぎさんはそういうパターンですよね?
くつろぎ : そうですね、そういうパターンです。それでガーン!ってなって(笑)
BYC : 今日もね、ずっと生産者の話を熱心に聞いてるし。
で、生産者の人にカッピングしてもらって、こっちの焙煎技術とかも目の当たりにして、あれ?自分の焼いてるやつと味違うぞ?みたいな。
産地の人があんなに焙煎上手いってたぶん誰も思ってない。
くつろぎ : なるほど。疑ってるって言っていいぐらいかもしれない。
BYC : 遥か上ですよね。
くつろぎ : びっくりしました。見れて良かった!本当に残って習いたかったですもん、カッピングとか焙煎。
BYC : カッピングと焙煎は日本のほとんどのロースターさんの遥か上をいってる。だから学ぶべきことが多いですよね。それを知ってもらいたい。僕もお山の大将になっちゃだめだなっていつも思います。
くつろぎ : 周りにそんな人いないですもん。
BYC : 産地ツアーに参加してみての、率直な感想はありますか?
くつろぎ : いい生産者と繋がったっていうのが一番大きくて、品質も超えて、「その人たちと仕事がしたい」と思ったことが一番大きかったですね。
あとは生産者さんたちと会うのももちろん初めてなんですけど、個人的にはロースター同士のつながりも今までなくて、扱ってるものだったり、抽出とか焙煎のことを滞在中みっちりディスカッションできたのも嬉しかったですね。
生産者同士で、色んな情報とか共有しあっているっていうのを聞いて、そういうのをロースター側でも出来たらいいなって思いました。
BYC : こっちに来ると心理的に間口が広がるじゃないですか。なんか、変なプライドとか不思議と全部いらなくなっちゃって喋りやすくなりますよね。
くつろぎ : 生産者で言うと、そのあとの関係性ができるっていうのはそれだけでも価値があるなと思いました。
BYC : それ行く前は思っていました?直接、例えば生産者との関係を持つことが大事だとか。
くつろぎ : 行ってみたいとは思ってましたけど、持つことでどうなるかっていうのは正直あんまりよく分かってなかった。
BYC : 実際そうならないとなかなか見えにくいですもんね。
くつろぎ : 長く付き合える生産者と出会えたらいいなって漠然とは思ってましたけど、それすらも、それがどういうことなのかとかは行く前は全然。ただ、行ったことないから行ってみたいなぁ、会ってみたいなぁっていう感じでした。
BYC : 実際みんなに会ってみて、全員分買ってみたいなあってどうしても思うじゃないですか。僕もそうですけど買えるキャパって絶対あると思うんで、つい慎重になる。でもカッピングしてみればどれを選んでも良い豆だっていうのがよく分かるから安心して買えますよね。
BYC : また産地に来たい(ツアーに参加したい)と思いますか?
くつろぎ : はい!
BYC : (笑) 即答ですね。あと、他のロースターさんにオススメしたいと思いますか?
くつろぎ : はい。なんというか…自分のカッピングスキルや焙煎技術を信じすぎてるから、一回それを壊す必要がある。自分もそうだったからこそ思い込んでる人が多いのかもなっていうのは思いました。
とにかく新しい発見が多かったですね。こんなもんっていう決めつけが無自覚にあったなぁって。本当にゼロだった(笑)。だからこそ新しい発見がめちゃくちゃ多かった。たぶん、あのまま日本にいて、体験した人に聞くとか調べたりするよりも、何倍も身についた。
BYC : データベースというか、他人から聞いた知識ベースというか、「体現」ですよね。体でバン!って感じる。言葉になかなかならないかもしれないけどすごいですよね。
くつろぎ : とにかくすごかったっていう…謎の言葉しか出てこない(笑)
「すごかったぁ!」って言ってもみんなにぽかんとされるかもしれないけど、なんせ2週間分だから一言でどうだったとは到底言えない。
あまりにも情報量と刺激が多くて、言葉にしたところで「正直行ってみんとわからんばい!」って言ってしまいそうですね笑
BYC : そうなんですよね。来る価値を言葉で伝えるのはかなり難しい。
くつろぎ : 日本でいくら知識を入れて試行錯誤してても来てみれば一瞬で腑に落ちる。見方が変わっちゃいますよね。
たぶん、早く行けばよかったってぜったい思うはずだから、いつか行きたいとか、ごちゃごちゃ言ってる暇があったら来て!って昔の自分に言いたい(笑)
もうそれが近道。ぜったい早い!
BYC : 二週間っていうのが長いですけどね、それで躊躇される方もけっこう多いんです。BYCとしては、まずは産地に行っても行かなくても同じように手に入れることが出来る仕組みなので、あとは品質の保証かなって。僕の中では品質と仕入は抱き合わせなんですよ、生産されてから納品までの工程、特に輸入が一番の要だけどハードルも高い。ナノロースターだからこそ直接繋がれるし大手では手を付けられない最高品質の小ロットをBYCで一緒に買って、一緒にコンテナ詰めて運んで仕入れて。それがロースター同士や運営とも同じ豆を買ってることもありますし、まぁ処理違いでも焙煎して送りあったりして、今回の写真や動画のような情報もそうですけど足りない情報・共有できる情報があれば送りあったりとか。
それは個人のロースターだからこそできる強みにもなると思うんです。
BYC : さて、今から帰国ですが心境の変化ってありますか?
くつろぎ : 心境の変化はめっちゃいろいろあります。嬉しかったのは、向上の余地がめちゃくちゃ見えたこと。全然、あーやれることいっぱいあるなぁって。
BYC : やれることがいっぱいあるなぁっていうのは、その先が見えたからっていうことですか?
くつろぎ : そうですね。コーヒー自体が単純に、めっちゃ面白く見えた。来る前よりも元気になる(笑)
BYC : 表情が皆さん違いますもん。